このところ新聞やテレビなどで、フィリピン国籍のカルデロン・のり子さんとご両親のニュースが流れていますね。日本生まれで日本語しか話せない中学1年生ののり子さん。3月13日の報道では、両親はフィリピンに帰国し、のり子さんだけが「在留特別許可」を得て日本で勉強を続ける、という結果になったようです。どうして一家そろって日本で暮らせないのでしょうか。また、のり子さんに出される「在留特別許可」とは何でしょう?
通常、日本にいる外国人は入国の時に入国管理局から「在留許可」をもらって日本に暮らしています。これがない場合、つまり正規の入国手続を経ずに「不法入国」したか、在留期限を過ぎてオーバーステイしている場合は、その事実が警察や入国管理局にみつかると逮捕・収容され、母国に強制送還されてしまいます。しかし法務大臣が特別に在留を許可する(在留特別許可。略して在特という)ことで、日本で暮らし続けることができる場合があります。それは、日本人や正規滞在している外国人と結婚していたり、日本国籍の子どもを育てていたりする場合です。
カルデロン一家は、家族全員がフィリピン国籍でオーバーステイだったので、上記のどれにもあてはまりません。しかし、これまでにも何度か家族全員がオーバーステイで一斉に入国管理局に出頭し、在留を許可されたケースもありました。入国管理局がどういう基準で許可を出しているか、外部には明らかにされていませんが、日本で生まれ育った子どもが中学生になり、もはや日本以外で学校になじむのが困難とみなされた場合には在留特別許可が出されるのでは、と支援団体の間では推測されていました。また、日本政府は難民認定をなかなかしないために国際的にひんしゅくを買っているのですが、近年難民申請をした人に対して、難民認定はしない代わりに在留特別許可を出す、という措置をとることも増えているようです。在留特別許可が下りると、状況に応じて「日本人の配偶者等」や「定住者」などの在留資格が与えられます。
在留特別許可の審査基準が明らかでないと批判を受けたため、5年ほど前から入国管理局は在留特別許可を出したケース・出さなかったケースについて事例をウェブサイトに載せるようになりました。これを見ると、許可されなかった事例では、当事者が犯罪を犯した、あるいは日本人などと結婚しているとみせかけてその実態がなかったというケースが主に紹介されています。
カルデロン一家の場合、両親が入国した時に使用したパスポートが偽造だったことが響いたように報道されていますが、日本人と結婚した人の場合には過去に偽造パスポート使用があっても在留特別許可がおりています。今回家族を引き裂いてまで厳格に入国管理法を適用した本当の理由が何なのかはわかりませんが、一人で日本に残る決断をした13歳ののり子さんが周囲から十分な支援を受けられることを望まずにはいられません。
*入国管理局の「在留特別許可された事例及び在留特別許可されなかった事例について」
http://www.moj.go.jp/NYUKAN/nyukan25.html |