前々回の記事で「就労系」と「身分系」の在留資格の違いをお話しました。でも、実際にはそれぞれのカテゴリーの中でも細かい分類があります。今回は、「身分系」の中でもちょっとわかりにくい「定住者」の在留資格について説明します。
「身分系」在留資格は「居住資格」とも言われます。「永住者」、「日本人の配偶者等(日本人と結婚した人、あるいはその子)」、「永住者の配偶者等」、「定住者」の四つに分かれますが、最初の三つはなんとなくイメージできますよね。では「定住者」はどうでしょうか。このカテゴリーには他には分類しにくい、いろいろな人たちが含まれています。いわゆるインドシナ難民、日系人、日本人・永住者などの子、中国残留日本人孤児とその子、などなど。
定住は英語で言うと「LONG TERM」です。「定住ビザがある」という場合、「日本人の配偶者等」や「永住者」などと同じく、とりあえずどんな仕事にも就けるし、仕事がない場合(手続は大変かもしれないけれど)生活保護申請もできます。
先ほど列挙した定住者の例だけだと、ごく限られた範囲の人たちにしかあてはまらないような気がしますが、「分類しにくい人たちが含まれる」カテゴリーなので、外国人の生活相談などをしていて、パスポートを見せてもらうと意外にこの在留資格の人が多いのです。
たとえば、日本人男性と結婚して「日本人の配偶者等」の在留資格を持っている外国人女性が離婚したとします。二人の間に日本国籍の子どもがいて、女性が子をひきとって育てる場合、在留期限が切れる前に、入管で「私は日本国籍の子を養育しています。離婚したけど日本でこの子を育てていきたい」と主張して、「定住者」の在留資格に変更することができます。今度は、その人が同じ国出身の男性と日本で再婚すると、その男性も「定住者」の在留資格を得ることが可能です。さらに、その女性が本国に子どもを残して来日していた場合、その子を呼び寄せて日本で一緒に暮らしたい、となると、その子もまた「定住者」の在留資格になります。
在日フィリピン人のライフスタイルはこの「定住者」の仕組みにスポッとはまっている、と思うことがよくあります。フィリピン人は、もともと1980年代以降に「興行」ビザで入国してきた人が今のところ多く、したがって女性の比率が高いのですが、その人たちが日本人と結婚し、出産し、離婚し、というプロセスを経て今は定住者(永住者)、というパターンがとても多いです。また、フィリピンはカトリックが主流の社会で、その影響で避妊中絶をしないためか、婚外で生まれる子も多く、日本に来る前に生まれた子(故郷の家族がその子の面倒を見ていることが多い)を本国から呼び寄せたい、と考える人もたくさんいます。さらに彼女たちと新たに日本で結婚するフィリピン人男性もけっこういる、というわけで、フィリピン国籍の「定住者」は今後ますます増えていくのではないでしょうか。 |