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「ハローフレンズ」 2009年8月号

入管法ひとくちノート(4)

認知と子の国籍
国籍法の改正をめぐって

行政書士
藤林 美穂

 昨年6月、最高裁大法廷で一つの判決が下されました。フィリピン人のお母さんを持つ子どもたちが日本国籍を求めていた裁判で、勝訴に躍り上がって喜ぶ姿がテレビなどでも放映されたので、覚えている方も多いと思います。子どもたちのお父さんは日本人ですが、お父さんとお母さんは結婚していません。なぜこの子たちが日本国籍を求めて裁判に訴えなければならなかったのか、またなぜ日本国籍が認められることになったのか、ニュースを横目で見ているだけではわかりにくかったですね。
 この裁判で争われたのは、日本の国籍法、つまり「生まれた子の日本国籍を、何をもって認めるか」ということでした。子どもが生まれた時、父母が結婚しており、父母のどちらかが日本人であればその子は日本国籍を得ることができます。また、出生当時父母が結婚していなくても、その後結婚すれば、「準正」という手続を法務局ですることによって子どもには日本国籍が与えられます。
 では、父母が結婚しない場合はどうなるのか。裁判ではここが焦点となりました。従来の国籍法では、子の出生以前に日本人の父親が子を認知すれば、子は日本国籍を取得できました。しかし出生後に認知された子は日本国籍を取得できない、ということになっていたのです。裁判で原告になった子どもたちは、皆出生後に日本人のお父さんから認知された子たちでした。中には、同じ父母から生まれたのにお姉さんは出生後に認知されたのでフィリピン国籍、妹は出生前に認知されたので日本国籍、という姉妹もいます。判決では、出生後の認知によっても子が日本国籍を取得できることになりました。
 裁判で原告となった子どもたちには、判決後すぐに日本国籍が与えられました。そして他にも同じ立場の子どもたちは(日本国内にも、国外にも)大勢いるのですが、その子たちにも今年の1月から日本大使館や法務局で手続することによって、日本国籍を取得する道が開かれました。
 出生後認知による国籍取得は「偽装認知」を増やすからよくない、という議論が一時インターネットなどで盛んに行われていたようです。日本国籍の子を育てている外国人のお母さんには「定住者」の在留資格が与えられるので、批判的な人たちは「偽装結婚」と同様の趣旨で批判しているのだと思います。新聞などで「偽装認知」事件がすでに何件か報道されていますが、認知は実際に子どもがいなければできないし、外国人「母」は日本にいるためにはずっとその子の面倒をみていなければならない、さらに認知すると日本人「父」の戸籍には子どもが記載され、将来的には相続の問題なども発生してくるといった諸事情から考えると、「偽装結婚」ほど気軽にはできないとも考えられます。「偽装」ではなく適正に日本国籍をとろうとしている子どもたちがこうした議論の中で無用に攻撃されないよう、配慮が必要だと思います。


●筆者紹介
NGOで働いたり、フィリピン人支援団体でボランティアしたりした後、行政書士開業。毎日いろいろな国から来たいろいろな人の話を聞いて、「在日外国人」の多様性に、びっくりすることの連続です。
ライフ行政書士事務所

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