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「ハローフレンズ」 2009年10月号

入管法ひとくちノート(5)

在留資格のない状態「オーバーステイ」
しかし、人道的対応は必要ではないのか

行政書士
藤林 美穂

 4月号に「在留特別許可」のことを書いた際、娘を残して本国に帰国せざるを得なかったカルデロンさん夫妻のことにふれました。カルデロン一家は全員がフィリピン国籍で、オーバーステイでした。
 オーバーステイとはどんな状態なのでしょうか? 外国人が日本に入国を認められた場合、日本での活動内容に合わせて「在留資格(俗にいう「ビザ」)」が法務省から与えられます。その在留資格には1年ないし3年の「在留期限」がついています。たとえば今日、日本に入国して「日本人の配偶者等・1年」という在留資格を与えられた人は、1年後の今日までに入国管理局に行って「この先も日本にいたいので、在留資格を更新してください」という手続をしなければなりません。
 「更新してください」と言っても自動的にすんなり更新されるわけではなく、1年たったその時点で本当に「日本人の配偶者」という状態が続いているのかどうか、その人の状況が厳しくチェックされます。もしその間に離婚していた、というようなことになれば、実態は「配偶者」ではないので、「日本人の配偶者等」の在留資格を更新することはできません。更新ができない場合、他の在留資格(たとえば「定住者」など)に変更して滞在を続ける、という可能性もありますが、この場合も変更理由が事実に沿っているかどうかが問われます。
 更新も変更もできずに在留期限を超えてしまった状態が「オーバーステイ」です。また、カルデロン一家のように、オーバーステイの両親の間に生まれた子どもは、生まれながらにしてオーバーステイとなってしまいます。いったんオーバーステイになってしまうと、再び在留資格を得るのは容易なことではありません。

 ところで、先の国会で入国管理法の改定が決まりましたが、その結果3年以内に現行の「外国人登録」は、在留資格のある人のみが登録できる方式に変わる予定です。そうなると、オーバーステイの人は行政のサービスは受けられなくなります。
 この改定に対し、外国人支援をしている団体の間では疑問や危惧の声が上がっています。オーバーステイの人に対する、最低限の人道的対応(重病やけが、出産、子どもの教育)など、これまで市区町村がそれぞれ独自に行ってきたやり方は、外国人登録によってその人が地域住民であることが確認できたからこそやれた、という側面があります。また一方で、オーバーステイの人びとが外国人登録できず、今よりもさらに「見えない存在」になってしまったら、たとえば新型インフルエンザなど伝染性の病気が流行した場合、あるいは大地震など大規模な災害が起きた場合、社会全体としてどのように対応していくのか、という問題もあるのです。改定入管法の行方を見守りたいと思います。



●筆者紹介
NGOで働いたり、フィリピン人支援団体でボランティアしたりした後、行政書士開業。毎日いろいろな国から来たいろいろな人の話を聞いて、「在日外国人」の多様性に、びっくりすることの連続です。
ライフ行政書士事務所

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